野球肘

野球肘とは?

成長期に投球動作を繰り返し行うことにより生じる肘の痛みや障害を総じて、野球肘と呼びます。
野球肘は、肘の内側に痛みを生じるものと肘の外側に痛みを生じるものがあります。

野球肘の原因とは?

ボールを投げるときには肘には大きな力が加わります。悪いフォームで投げると、1回ごとの投球で肘にかかる負担が大きくなります。また球数が多くなると疲労による負担が増えます。つまり「肘の負担」≒(1回の投球による負荷)×(投球数) ということになります。1回の負担が大きすぎると骨や靭帯にダメージをうけ「怪我」が起こります。球数が増えて肘の疲労が増えれば「故障」が起こります。逆を言えば、負担の少ないフォームであれば同じ球数を投げても合計の負担が減るということです。

野球肘の分類と痛みの出方

発症の時期により特徴が違います。

  • 発育型野球肘: 成長途上の骨端(骨の両端にある軟骨や成長線を含む部位)を中心とする骨軟骨の障害
  • 成人型野球肘: 成長完了後の関節軟骨や筋腱付着部の障害

 

また、障害部位により内・外・後方に分けられます。

内側型野球肘

投球動作では、加速期に腕が前方に振り出される際に肘に強い外反ストレスが働き、さらにその後のボールリリースからフォロースルー期には手首が背屈から掌屈し、さらに前腕は回内します。そのとき屈筋・回内筋の付着部である上腕骨内側上顆に牽引力が働きます。この動作の繰り返しで内側側副靭帯損傷、回内・屈筋群筋筋膜炎、内側上顆骨端核障害などが起こります。

外側型野球肘

投球動作の加速期におこる外反ストレスによって、腕橈関節と呼ばれる肘関節の外側に圧迫力が働き、さらにフォロースルー期で関節面に捻りの力も働きます。このストレスの繰り返しにより生じるのが外側型野球肘であり、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎、橈骨頭障害などがあります

後方型野球肘

投球の加速期におこる外反ストレスと減速期からフォロースルー期にいたる肘関節伸展強制によって、肘頭は上腕骨の後方にあるへこんだ部分に衝突するようなストレスを受けます。この動作の繰り返しで肘頭疲労骨折や骨棘形成が起こります。

野球肘の施術方法とは?

まず何よりも投球を中止することが大事なことになります。
当院としてはしっかりと検査をさせていただき、肘の状況、肩関節まわりや上肢の動きを確認していきます。そして肘の状況によっては病院でレントゲンやMRIを撮ってもらう必要もあります。
骨に問題がなく、当院で治療できると判断した場合には超音波やマッサージなどで肘周りの筋肉・靭帯などの軟部組織の回復をしていきます。
それと同時に姿勢や肩周りの位置異常を矯正、弱い筋肉のトレーニング指導をして負担のかかる投球動作をしないよう指導していくことで再発を防いでいきます。